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J&M Jewelry&Marriage ジュリ&マリ

📖 第三話:「消えたエメラルド」③:「エメラルドの行方」


伊織理人の工房 消えたエメラルド③
伊織理人の工房 消えたエメラルド③



「奥様が最後に触れたもの、大切にしていたもの……そこに、エメラルドがあるかもしれません。」


リヒトの言葉を胸に、男性は帰路についた。


自宅に戻ると、仏壇の前に座り、改めて妻の遺品を見つめた。


思い出の品は、数えるほどしかない。


妻は物をあまり持たない人だった。

気に入ったものを大切に使い続けるタイプで、流行には興味を示さなかった。


――エメラルドは、どこに?


リヒトの言葉を思い返しながら、彼は妻が大切にしていたものを探し始めた。

◆ 記憶をたどる


部屋の引き出し、クローゼット、妻のアクセサリーケース……。


だが、どこにもエメラルドは見当たらない。


「……やっぱり、見つからないか。」


疲れたようにため息をつき、彼はふと、リビングの隅にある棚に目をやった。


そこには、一つのオルゴールがあった。


二人で初めての旅行に行った時、妻が嬉しそうに選んだもの。

「記念に買おう」と言ったのは彼だったが、実際に選んだのは妻だった。


――オルゴール?


そんなはずはない。


だが、何かに導かれるように、彼はそっとオルゴールを手に取った。

◆ エメラルドの秘密


オルゴールを開くと、優しいメロディが流れ始めた。


馴染みのある旋律。

それは、妻がよく口ずさんでいた曲だった。


ふと、彼の指がオルゴールの内蓋に触れた。


「……?」


違和感を覚え、内蓋の隙間に指をかける。


カチリ。


薄い蓋が開いた。


中には、小さなシルクのハンカチが丁寧に畳まれ、収められていた。


震える手で、ハンカチを広げる。


そこに―― エメラルドがあった。


「……ここに、あったのか。」


指先でそっとつまむ。


妻が最後に触れたエメラルド。


ハンカチは、新婚旅行の時に彼がプレゼントしたものだった。

「君の好きな色だから」と、何気なく手渡したもの。


「そんなところに……」


思わず呟く。


妻は、なぜエメラルドをここに隠したのか。


なぜ、何も言わなかったのか。


その答えは、彼の中に残された記憶の中にあった。

🔜 次回:「彼女の最後の願い」

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