📖 第三話:「消えたエメラルド」③:「エメラルドの行方」
- v0vo0oe0e
- 2月28日
- 読了時間: 3分

「奥様が最後に触れたもの、大切にしていたもの……そこに、エメラルドがあるかもしれません。」
リヒトの言葉を胸に、男性は帰路についた。
自宅に戻ると、仏壇の前に座り、改めて妻の遺品を見つめた。
思い出の品は、数えるほどしかない。
妻は物をあまり持たない人だった。
気に入ったものを大切に使い続けるタイプで、流行には興味を示さなかった。
――エメラルドは、どこに?
リヒトの言葉を思い返しながら、彼は妻が大切にしていたものを探し始めた。
◆ 記憶をたどる
部屋の引き出し、クローゼット、妻のアクセサリーケース……。
だが、どこにもエメラルドは見当たらない。
「……やっぱり、見つからないか。」
疲れたようにため息をつき、彼はふと、リビングの隅にある棚に目をやった。
そこには、一つのオルゴールがあった。
二人で初めての旅行に行った時、妻が嬉しそうに選んだもの。
「記念に買おう」と言ったのは彼だったが、実際に選んだのは妻だった。
――オルゴール?
そんなはずはない。
だが、何かに導かれるように、彼はそっとオルゴールを手に取った。
◆ エメラルドの秘密
オルゴールを開くと、優しいメロディが流れ始めた。
馴染みのある旋律。
それは、妻がよく口ずさんでいた曲だった。
ふと、彼の指がオルゴールの内蓋に触れた。
「……?」
違和感を覚え、内蓋の隙間に指をかける。
カチリ。
薄い蓋が開いた。
中には、小さなシルクのハンカチが丁寧に畳まれ、収められていた。
震える手で、ハンカチを広げる。
そこに―― エメラルドがあった。
「……ここに、あったのか。」
指先でそっとつまむ。
妻が最後に触れたエメラルド。
ハンカチは、新婚旅行の時に彼がプレゼントしたものだった。
「君の好きな色だから」と、何気なく手渡したもの。
「そんなところに……」
思わず呟く。
妻は、なぜエメラルドをここに隠したのか。
なぜ、何も言わなかったのか。
その答えは、彼の中に残された記憶の中にあった。
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